- どの機械学習ライブラリを使えばいいのかわからない
- scikit-learnやTensorFlow、PyTorchの違いがいまいち理解できない
- 機械学習ライブラリ以外に入れたほうがいいライブラリはなに?
こんな悩みを解決します。
Pythonで機械学習を始めるなら、目的に合ったライブラリを選ぶことが重要です。
おすすめの機械学習ライブラリは次の3つです。
- scikit-learn
- TensorFlow
- PyTorch
scikit-learn、TensorFlow、PyTorchにはそれぞれ得意分野があり、用途に応じて使い分けることで効率的に開発が進められます。
この記事では、機械学習におすすめのPythonライブラリ3選について、わかりやすく解説します。
この記事を読み進めれば、自分に最適なライブラリが選べるようになります。
この記事でわかること
- scikit-learnやTensorFlow、PyTorchの違い
- 機械学習ライブラリと一緒に使うライブラリ
- 機械学習のおすすめ書籍、スクール
目次
機械学習の基礎知識
機械学習におすすめのPythonライブラリ3選を紹介する前に、機械学習について簡単に紹介します。
機械学習とは
機械学習(Machine Learning)は、コンピューターが大量のデータを分析し、そこからパターンや規則性を学習することで、予測や意思決定の精度を向上させる技術です。
機械学習の例として、次のようなものがあります。
- 写真の中の物体や人物を識別する画像認識
- 人間の言語を理解し、翻訳や要約を行う自然言語処理
- 過去のデータから将来の傾向を予測する予測分析
機械学習の種類
機械学習は大きく分けて以下の種類があります。
- 教師あり学習 (Supervised Learning):正解ラベル付きのデータを使って学習する
- 教師なし学習 (Unsupervised Learning): 正解ラベルのないデータを使って学習する
- 半教師あり学習(Semi-supervised Learning):少量の教師データと大量の未ラベルデータを組み合わせる
- 強化学習(Reinforcement Learning):行動と報酬のフィードバックから学習
ディープラーニング(Deep Learning)は、これらの学習方法に適用できる多層ニューラルネットワークを使用した手法です。
機械学習の流れ
機械学習の基本的な流れは以下の通りです。
- データ収集:問題に関連するデータを集める
- データ前処理:欠損値の処理、特徴量のスケーリング、カテゴリデータの変換など
- データ分割:訓練データとテストデータに分ける
- モデル選択:問題に適したアルゴリズムを選ぶ
- モデル訓練:訓練データを使ってモデルのパラメータを最適化する
- モデル評価:テストデータでモデルの性能を評価する
- パラメータチューニング:モデルの性能を向上させるためにパラメータを調整する
- 予測・推論:新しいデータに対して予測を行う
機械学習では、特徴量からターゲットを予測します。
特徴量とは、モデルが「何をもとに予測するか」という情報です。
ターゲットとは、モデルが予測したい「目的の値」です。
機械学習ライブラリ 3選
Pythonにはさまざまな機械学習ライブラリがありますが、今回は特に人気が高く、実務や学習でもよく使われる3つを紹介します。
- scikit-learn
- TensorFlow
- PyTorch
scikit-learn
scikit-learnとは、Pythonで基本的な機械学習を行うためのライブラリです。ディープラーニングには対応していません。
scikit-learnには多くの教師あり学習・教師なし学習のアルゴリズムが実装されていて、データの前処理からモデル評価まで幅広い機能を備えています。
scikit-learnの主な特徴は次のとおりです。
- ランダムフォレストや勾配ブースティングなど、様々なアルゴリズムが使える
- シンプルで一貫性のあるAPIのため、どのアルゴリズムでも同じ手順で利用できる
- 充実したドキュメントとサンプルコードがあり、初心者でも理解しやすい
scikit-learnについては、こちらの記事で詳しく解説しています。
⇒【 scikit-learnの使い方】初心者でも使える、Pythonでの機械学習を徹底解説!
TensorFlow
TensorFlowは、Googleが開発した機械学習とディープラーニングのためのライブラリです。
TensorFlowを使うことで、ニューラルネットワークの構築、学習、推論、評価、運用までを効率よく一貫して行うことができます。
TensorFlowの主な特徴は次のとおりです。
- TensorFlowは、低レベルAPIから高レベルAPI(Keras)まで提供しているため、幅広い用途に使用できる
- 複数のCPUやGPU、TPU(Tensor Processing Unit)に計算を分散させ、学習時間を大幅に短縮できる
- TensorFlowはサーバーやデスクトップ上だけでなく、多様な環境へのデプロイができる
TensorFlowについては、こちらの記事で詳しく解説しています。
⇒【初心者向けTensorFlow入門】ディープラーニングで手書き文字認識する方法を解説!
PyTorch
PyTorchは、Facebook(現Meta)が開発した機械学習とディープラーニングのためのライブラリです。
Pythonとの親和性が高く、直感的な記述が可能なことから、研究用途から商用プロダクト開発まで幅広く利用されています。
PyTorchの主な特徴は次のとおりです。
- 動的計算グラフ(Dynamic Computational Graph)を採用しているため、柔軟でデバッグしやすいコードを書くことができます。
- NumPyのような書き方でテンソル操作ができるため、Pythonを使った開発に慣れている方には非常に扱いやすい
- PyTorchには、ディープラーニングモデルを効率的に構築するための豊富なAPIとモジュールが組み込まれている
PyTorchについては、こちらの記事で詳しく解説しています。
⇒【初心者向けPyTorch入門】ディープラーニングで手書き文字認識する方法を解説!
他の機械学習ライブラリとの比較
ライブラリ | 特徴 | 用途 |
---|---|---|
scikit-learn | 簡潔なAPI、豊富な機能、良いドキュメント | 伝統的な機械学習アルゴリズム、小〜中規模データ |
TensorFlow | 柔軟なアーキテクチャ、分散処理、本番デプロイ | ディープラーニング、大規模データ、モバイルデプロイ |
PyTorch | 動的計算グラフ、研究向け、Pythonライク | 研究開発、ディープラーニング実験 |
XGBoost | 勾配ブースティングに特化、高速、高精度 | 構造化データの予測タスク、コンペティション |
LightGBM | 非常に高速、メモリ効率が良い | 大規模構造化データ、高速な学習が必要な場合 |
機械学習ライブラリと一緒に使うライブラリ
機械学習ではデータの準備や数値計算、可視化など、さまざまな処理を行います。
各処理を効率的に行うために、機械学習ライブラリと一緒に使うことが多いライブラリがいくつもあります。
主なライブラリは次のとおりです。
- NumPy
- SciPy
- pandas
- matplotlib
- seaborn
- JupyterLab
NumPy
NumPyは、Pythonで多次元配列を簡単に作成、操作できるライブラリです。
ベクトルや行列などの配列を操作するため、多彩な数学関数を使うことができます。
データ分析や機械学習で大量のデータを効率的に処理する際に不可欠なライブラリです。
NumPyの内部はC言語やFortranで実装されているため、非常に高速に動作します。
scikit-learn、TensorFlow、PyTorchのいずれも、内部的にNumPyを使用しており、NumPyへの理解は機械学習ライブラリを効果的に使用するための基礎となります。
NumPyの使い方については、こちらの記事で解説しています。
⇒NumPyの使い方をわかりやすく解説!!配列を使いこなそう!サンプルコード付き!
SciPy
SciPyは科学技術計算や統計解析に強みがあるライブラリです。
最適化や信号処理、統計分布の計算などに役立ちます。
機械学習においては、特にハイパーパラメータの最適化や、統計的な検定、信号処理などの場面でSciPyの機能が活用されます。
pandas
pandasは、Pythonでデータ解析を効率的に行うことができるライブラリです。
データをシリーズ(Series)やデータフレーム(DataFrame)という形式で処理します。
データフレーム(DataFrame)は大量のデータを効率的に処理できる形式で、データ分析や機械学習で必須のライブラリです。
CSVファイルの読み込み、データのクリーニング、特徴量エンジニアリングなど、機械学習の前処理段階で使用します。
pandasを習得することで、実際のビジネスデータを機械学習に適用可能な形に変換する能力が大幅に向上します。
pandasの使い方については、こちらの記事で解説しています。
⇒pandasの使い方をわかりやすく解説!!データフレームを使いこなそう!サンプルコード付き!
matplotlib
matplotlibはPythonで簡単にグラフを書くことができるライブラリです。
線、棒、円、ヒストグラム、散布図など、様々な種類のグラフを描画できます。
グラフの見た目やレイアウトを細かくカスタマイズできるため、自分の好みやプロジェクトに合わせた図表を作成することも可能です。
データ分析後に、その分析結果をわかりやすく表示するためには必須のライブラリです。
機械学習においては、データの分布確認、モデルの性能評価、学習過程の可視化など、様々な場面で活用されます。
matplotlibの使い方については、こちらの記事で解説しています。
⇒matplotlibの使い方をわかりやすく解説!きれいなグラフを書くには必須!サンプルコード付き!
seaborn
seabornはmatplotlibをベースにした可視化ライブラリで、より洗練されたグラフの作成が可能です。統計的データ可視化にも強みがあります。
機械学習プロジェクトにおけるデータの探索的分析(EDA)では、seabornの高度な可視化機能が大いに役立ちます。
相関行列のヒートマップ、分布の比較、カテゴリ別の分析など、データの特性を直感的に理解するためのグラフを簡単に作成できます。
JupyterLab
JupyterLabは、データ解析や機械学習を行う際に便利な統合開発環境で、ブラウザ上で動作します。
JupyterLabではプログラムの処理結果を簡単に確認することができます。
例えば、pandasのデータフレームの中身を簡単に確認できたり、matplotlibで作成したグラフを簡単に表示したりできます。
データ解析や機械学習を行う際に、データ確認とデータ処理のサイクルを効率的に行うことができます。
JupyterLabの使い方については、こちらの記事で解説しています。
⇒【JupyterLab使い方】Python開発ならインストール必須の開発環境を解説!
まずはNumpyとpandas、matplotlibを使うのがおすすめです
機械学習ライブラリを使いこなすロードマップ
機械学習ライブラリを学ぶためのロードマップを紹介します。
Pythonの基礎を学ぶ
機械学習ライブラリを使いこなすためには、まずPythonの基礎を身につける必要があります。
Pythonの基本的な文法(変数、データ型、演算子、制御構文(if文、for文など)、関数、クラスなど)を理解していなければ、ライブラリのコードを読んだり書いたりすることができません。
Pythonの基本文法については、こちらの記事で解説しています。
⇒【初心者必見】これだけでOK!Pythonの基本文法をわかりやすく解説
NumPy、pandas、matplotlibでデータ操作に慣れる
機械学習のデータの前処理や分析で、NumPyとpandas、matplotlibを活用します。
そのため、事前にNumPyとpandas、matplotlibを使って、データ操作に慣れておけば、機械学習ライブラリをスムーズに使用することができます。
NumPyの使い方については、こちらの記事で解説しています。
⇒NumPyの使い方をわかりやすく解説!!配列を使いこなそう!サンプルコード付き!
pandasの使い方については、こちらの記事で解説しています。
⇒pandasの使い方をわかりやすく解説!!データフレームを使いこなそう!サンプルコード付き!
matplotlibの使い方については、こちらの記事で解説しています。
⇒matplotlibの使い方をわかりやすく解説!きれいなグラフを書くには必須!サンプルコード付き!
機械学習ライブラリを使ってみる
Pythonの基礎、データ操作に慣れてきたら、機械学習ライブラリの学習に進みます。
機械学習は数学やアルゴリズムを理解する必要がありますが、初心者がいきなり学習するにはハードルが高いです。
そこで、最初はサンプルコードを真似することをおすすめします。
書籍やネットで入手できるサンプルコードを実際に入力して実行することで、機械学習の流れを掴むことができます。
サンプルコードがエラーなく実行できたら、プログラム内のパラメータを変更してみたり、処理を追加したりすることが、ライブラリの理解に重要です。
scikit-learnについては、こちらの記事で詳しく解説しています。
⇒【 scikit-learnの使い方】初心者でも使える、Pythonでの機械学習を徹底解説!
TensorFlowについては、こちらの記事で詳しく解説しています。
⇒【初心者向けTensorFlow入門】ディープラーニングで手書き文字認識する方法を解説!
PyTorchについては、こちらの記事で詳しく解説しています。
⇒【初心者向けPyTorch入門】ディープラーニングで手書き文字認識する方法を解説!
まずは基本的な機械学習ライブラリであるscikit-learnを学習するのがおすすめです
機械学習を始めるためのおすすめ書籍
機械学習ライブラリを体系的に学ぶなら、書籍がおすすめです。
書籍によっては、ライブラリのバージョンに関する情報が古くなっている可能性があるので、注意しましょう。
scikit-learn
scikit-learnを学ぶためのおすすめ書籍は次のとおりです。
TensorFlow
TensorFlowを学ぶためのおすすめ書籍は次のとおりです。
PyTorch
PyTorchを学ぶためのおすすめ書籍は次のとおりです。
機械学習を始めるためのおすすめスクール
機械学習を学ぶなら、オンラインスクールもおすすめです。
Pythonの基礎から、NumPyやpandasなどのデータ分析ライブラリや、今回紹介した機械学習ライブラリまで、幅広く学習することができます。
学習でわからないことがあっても、オンラインスクールではサポートが充実しているため、効率的に学習を進めることができます。
scikit-learn
scikit-learnを学習するためのおすすめスクールはキカガクの長期コースです。
キカガクのオンライン講座は、動画で視覚的に学べるのが特長です。
長期コースでは機械学習・ディープラーニング・データ分析まで広くカバーされており、scikit-learnを使った演習も含まれています。
学習ステップが丁寧で、未経験者でもつまずきにくい構成です。
キカガクについては、こちらの記事で解説しています。
⇒ 【徹底解説】キカガク長期コースはdodaと提携した転職おすすめのオンラインスクール!
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TensorFlow
TensorFlowを学習するためのおすすめのオンラインスクールはAidemy Premiumです。
TensorFlowについては、Aidemy PremiumのAI アプリ開発講座、データ分析講座、自然言語処理講座の「ディープラーニング基礎」コースで学習できます。
TensorFlowだけでなく、機械学習の基礎から応用まで幅広く学ぶことができます。
Aidemy Premiumについては、こちらの記事で解説しています。
⇒ 【徹底解説】Aidemy PREMIUMはAIを深く学ぶことができるおすすめオンラインスクール!
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PyTorch
PyTorchを学習するためのおすすめスクールはキカガクの長期コースです。
キカガクのオンライン講座は、動画で視覚的に学べるのが特長です。
長期コースでは機械学習・ディープラーニング・データ分析まで広くカバーされており、PyTorchを使った演習も含まれています。
学習ステップが丁寧で、未経験者でもつまずきにくい構成です。
キカガクについては、こちらの記事で解説しています。
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Q&A
Pythonで機械学習を始めるには、どのライブラリを最初に学べばいい?
まずはNumPyとpandas、matplotlibを学習します。
その後、基本的な機械学習が使えるscikit-learnに挑戦しましょう。
scikit-learnとTensorFlow、PyTorchの違いは何?
scikit-learnは線形回帰、SVM、決定木、ランダムフォレストなど、ディープラーニング以外の機械学習に特化しています。
TensorFlow、PyTorchはディープラーニングに特化しています。
初心者はscikit-learnから学習することをおすすめします。
機械学習を学ぶ際、数学の知識はどれくらい必要?
機械学習ライブラリを学び始めるときは、数学の知識はあまり気にしなくても大丈夫です。
機械学習を深く理解するには、微分・積分、確率・統計などの数学の知識が必要になります。
まとめ
この記事では、Pythonで機械学習を行う際におすすめの3つのライブラリ「scikit-learn」「TensorFlow」「PyTorch」について紹介しました。
それぞれに特化した用途や特徴があり、目的に応じて使い分けることで効率よく学習・開発が可能になります。
NumPy、pandas、matplotlib、seaborn、JupyterLabなどのライブラリと組み合わせることで、データの前処理や可視化など、機械学習を効率的に進めることができます。
機械学習は難しく感じるかもしれませんが、基本手順を1つ1つ進めていけば、初心者でも習得できるので、ぜひ挑戦してみてください。